【全9パターン網羅】微分方程式の解法一覧

微分方程式の解法
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微分方程式を形状ごとに分類し、それぞれの解法を解説しています。

解法の基本は変数分離形または定数係数の線形の微分方程式にあり、より複雑な微分方程式は、これらのパターンに帰着させることを目標にしていると考えると、全パターンを簡単に覚えることができます。

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微分方程式を「解く」

そもそも微分方程式を解くとは、その方程式をみたす一般解を求めることを意味します。

方程式内で微分が行われることから、解となる関数には定数倍や定数項で任意性があり、そのため複数の関数が解となり得ます。

そこで任意定数 \(C_i\) を用いてこれらの解をすべて表現した式を一般解と言います。

(一般解の例)

$$y=C_1e^x+C_2e^{2x}$$

この式は、 \(y=2e^x-3e^{2x}\) や \(y=e^x\) 、 \(y=100e^{2x}\) 、 \(y=0\) などの関数をすべて含んでいます。

微分方程式の解法一覧

変数分離形

$$\frac{dy}{dx}=P(x)Q(y)$$

両辺を \(x\) で積分する形。

【微分方程式の解法1】変数分離形
変数分離形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説します。これは微分方程式の解法としてもっとも基本的なものであり、より複雑な微分方程式の解法も、式変形によりこの形に帰着させることを目標としているため、確実に習得しておきたい考え方です。

1階同次形

$$\frac{dy}{dx}=f\left(\frac{y}{x}\right)$$

\(z=\frac{y}{x}\) と変数変換して、変数分離形に帰着させる形。

【微分方程式の解法2】1階同次形
1階同次形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。登場する変数の次数が等しいため、それらを分数の形にして新たな変数へと変換し、変数分離型へ帰着させることを基本方針とする。その際、分母になる変数が0となる場合を考慮し、場合分けして計算するよう注意する。

1階線形

$$\frac{dy}{dx}+P(x)y=Q(x)$$

両辺に \(\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\) を掛け、積分を行う形。

【微分方程式の解法3】1階線形
1階線形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。その中でも特に非同次形と呼ばれる形では、両辺に適切な式をかけることで、解を直接求めることができる。両辺にかけるべき式は積分を含むので、解法を一般化すると計算式が複雑になってしまうため、例題を通して解く流れを理解してほしい。

ベルヌーイの微分方程式

$$\frac{dy}{dx}+P(x)y=Q(x)y^k$$

\(z=y^{1-k}\) と変数変換して、1階線形に帰着させる形。

【微分方程式の解法4】ベルヌーイの微分方程式
ベルヌーイの微分方程式と呼ばれる、次数の大きな変数を持つ微分方程式の解き方について解説する。この方程式では、大きな次数を消去するように変数変換を行い、1階線形に帰着させることを目標とする。変数変換を行う際に、逆数を取るような計算をするため、0を場合分けするよう注意する。

定数係数2階同次線形

$$\frac{d^2y}{dx^2}+a\frac{dy}{dx}+by=0$$

特性方程式 \(\lambda^2+a\lambda+b=0\) の解の種類から一般解を求める形。

【微分方程式の解法5】定数係数2階同次線形
定数係数2階同次線形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。この方程式は、特性方程式の解の個数によって、微分方程式の解の形状を決定する解法パターンのもっとも基本的なものである。「特性方程式の意味・なぜ作るのか?」を合わせて読むと、特性方程式の解と微分方程式の解の関係を暗記ではなく原理として理解できる。

特性方程式による解法がうまくいく理由については

特性方程式の意味・なぜ作るのか(2階線形微分方程式)
2階同次線形微分方程式を解く際や、2階非同次線形微分方程式の余関数を求める際には、方程式の係数から特性方程式を作る。この特性方程式がなぜ重要になるのか、また、その解の性質からなぜ微分方程式の解の形が変わってくるのかについて、式を操作しながら確かめてみる。

を参照。

定数係数2階非同次線形

$$\frac{d^2y}{dx^2}+a\frac{dy}{dx}+by=R(x)$$

\(R(x)=0\) (定数係数2階同次線形)の一般解を余関数 \(y_c(x)\) とし、それと特殊解 \(Y(x)\) の和が一般解となる形。

【微分方程式の解法6】定数係数2階非同次線形
定数係数2階非同次線形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。この形は、同じ定数係数2階微分方程式の「同次形」にxの多項式が加わったものである。一般解はこれを反映し、同次形の一般解(余関数)と特殊解の和によって表される。

オイラーの微分方程式

$$x^2\frac{d^2y}{dx^2}+ax\frac{dy}{dx}+by=R(x)$$

\(x\) の範囲に基づき、 \(t=\ln x\) または \(t=\ln(-x)\) と変数変換して、定数係数2階同次・非同次線形に帰着させる形。

【微分方程式の解法7】オイラーの微分方程式
オイラーの微分方程式と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。この方程式は係数が定数でない2階線形微分方程式の特殊パターンであり、対数をとって変数変換することにより、定数係数に変形できる。

定数係数n階線形

$$y^{(n)}+p_1y^{(n-1)}+\cdots+p_{n-1}y'+p_ny=Q(x)$$

\(n\) 次の特性方程式 \(\lambda^{n}+p_1\lambda^{n-1}+\cdots+p_{n-1}\lambda+p_n=0\) の解の種類に基づいて、2階線形と同様の手法で解く形。

【微分方程式の解法8】定数係数n階線形
定数係数n階線形微分方程式と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。定数係数2階線形方程式が2次の特性方程式の解の種類に基づいて一般解の形状を決定するのと同様に、n階線形の場合はn次の特性方程式を用いる。n次の場合も、特性方程式の解と微分方程式の一般解についての基本的な考え方には、「特性方程式の意味・なぜ作るのか」の内容をそのまま適用できる。

完全微分形

$$P(x,y)dx+Q(x,y)dy=0$$

左辺が \(f(x,y)\) の全微分となる性質を利用(またはそうなるように変換)し、一般解 \(f(x,y)=C\) を導く形。

【微分方程式の解法9】完全微分方程式
完全微分方程式と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。この微分方程式は、式の形状が全微分となっていることを利用して簡単に解くことができる。そのため実務的な解法の重点は、与えられた方程式が完全微分方程式であるかを判定する、または完全微分方程式になるように変換することにある。

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