1階同次形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。
登場する変数の次数が等しいため、それらを分数の形にして新たな変数へと変換し、変数分離型へ帰着させることを基本方針とする。
その際、分母になる変数が0となる場合を考慮し、場合分けして計算するよう注意する。
定義
\(y\) が \(x\) の関数であるとき
$$\frac{dy}{dx}=f\left(\frac{y}{x}\right)\tag{1}$$
のように、 \(\frac{y}{x}\) または \(\frac{x}{y}\) の関数として書ける微分方程式を1階同次形という。
なお、微分方程式が「1階」であるとは1回微分 \(\frac{dy}{dx}\) のみから成ることを指し、「同次形」とは各項における \(x\) と \(y\) の次数が等しいことを意味する。
解法
変数変換により、変数分離形に帰着させる。
\(\frac{y}{x}=z\) とおくと、 \(y=xz\) より
$$\frac{dy}{dx}=\frac{d}{dx}(xz)=z+x\frac{dz}{dx}$$
となる。
これらを \((1)\) 式に代入すると
$$z+x\frac{dz}{dx}=f(z)$$
$$\frac{dz}{dx}=\frac{1}{x}(f(z)-z)=P(x)Q(z)$$
という変数分離形に帰着できる。
変数分離形の解法は
を参照。
例
$$(7x+3y)\frac{dy}{dx}=-9x-5y$$
\(x\neq 0\) とし、両辺を \(x\) で割ると1階同次形に変換できる。
$$(7+3\frac{y}{x})\frac{dy}{dx}=-9-5\frac{y}{x}$$
\(z=\frac{y}{x}\) とおくと \(\frac{dy}{dx}=z+x\frac{dz}{dx}\) であり、これらを代入して
$$(7+3z)\left(z+x\frac{dz}{dx}\right)=-9-5z$$
$$(7+3z)x\frac{dz}{dx}=-3z^2-12z-9$$
$$\frac{dz}{dx}=-\frac{3}{x}\frac{(z+3)(z+1)}{7+3z}$$
とすると、変数分離形に帰着できる。
したがって、 \(C_1\) を任意定数として
$$\int\frac{7+3z}{(z+3)(z+1)}dz=-\int\frac{3}{x}dx+C_1$$
$$\int\left(\frac{2}{z+1}+\frac{1}{z+3}\right)dz=-\int\frac{3}{x}dx+C_1$$
$$2\ln|z+1|+\ln|z+3|=-3\ln|x|+C_1$$
$$\ln|(z+1)^2(z+3)x^3|=C_1$$
$$|(z+1)^2(z+3)x^3|=\exp(C_1)$$
$$(z+1)^2(z+3)x^3=\pm\exp(C_1)$$
ここで、 \(C=\pm\exp(C_1)\) とおくと
$$(z+1)^2(z+3)x^3=C$$
\(z=\frac{y}{x}\) を再代入して
$$(\frac{y}{x}+1)^2(\frac{y}{x}+3)x^3=C$$
$$(y+x)^2(y+3x)=C$$
この関数は \(x=0\) でも定義される。
微分方程式の解法一覧
その他の微分方程式の解法は、以下の記事を参照のこと。
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