【微分方程式の解法2】1階同次形

微分方程式の解法
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1階同次形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説する。

登場する変数の次数が等しいため、それらを分数の形にして新たな変数へと変換し、変数分離型へ帰着させることを基本方針とする。

その際、分母になる変数が0となる場合を考慮し、場合分けして計算するよう注意する。

定義

\(y\) が \(x\) の関数であるとき

$$\frac{dy}{dx}=f\left(\frac{y}{x}\right)\tag{1}$$

のように、 \(\frac{y}{x}\) または \(\frac{x}{y}\) の関数として書ける微分方程式を1階同次形という。

なお、微分方程式が「1階」であるとは1回微分 \(\frac{dy}{dx}\) のみから成ることを指し、「同次形」とは各項における \(x\) と \(y\) の次数が等しいことを意味する。

解法

変数変換により、変数分離形に帰着させる。

\(\frac{y}{x}=z\) とおくと、 \(y=xz\) より

$$\frac{dy}{dx}=\frac{d}{dx}(xz)=z+x\frac{dz}{dx}$$

となる。

これらを \((1)\) 式に代入すると

$$z+x\frac{dz}{dx}=f(z)$$

$$\frac{dz}{dx}=\frac{1}{x}(f(z)-z)=P(x)Q(z)$$

という変数分離形に帰着できる。

変数分離形の解法は

【微分方程式の解法1】変数分離形
変数分離形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説します。これは微分方程式の解法としてもっとも基本的なものであり、より複雑な微分方程式の解法も、式変形によりこの形に帰着させることを目標としているため、確実に習得しておきたい考え方です。

を参照。

$$(7x+3y)\frac{dy}{dx}=-9x-5y$$

\(x\neq 0\) とし、両辺を \(x\) で割ると1階同次形に変換できる。

$$(7+3\frac{y}{x})\frac{dy}{dx}=-9-5\frac{y}{x}$$

\(z=\frac{y}{x}\) とおくと \(\frac{dy}{dx}=z+x\frac{dz}{dx}\) であり、これらを代入して

$$(7+3z)\left(z+x\frac{dz}{dx}\right)=-9-5z$$

$$(7+3z)x\frac{dz}{dx}=-3z^2-12z-9$$

$$\frac{dz}{dx}=-\frac{3}{x}\frac{(z+3)(z+1)}{7+3z}$$

とすると、変数分離形に帰着できる。

したがって、 \(C_1\) を任意定数として

$$\int\frac{7+3z}{(z+3)(z+1)}dz=-\int\frac{3}{x}dx+C_1$$

$$\int\left(\frac{2}{z+1}+\frac{1}{z+3}\right)dz=-\int\frac{3}{x}dx+C_1$$

$$2\ln|z+1|+\ln|z+3|=-3\ln|x|+C_1$$

$$\ln|(z+1)^2(z+3)x^3|=C_1$$

$$|(z+1)^2(z+3)x^3|=\exp(C_1)$$

$$(z+1)^2(z+3)x^3=\pm\exp(C_1)$$

ここで、 \(C=\pm\exp(C_1)\) とおくと

$$(z+1)^2(z+3)x^3=C$$

\(z=\frac{y}{x}\) を再代入して

$$(\frac{y}{x}+1)^2(\frac{y}{x}+3)x^3=C$$

$$(y+x)^2(y+3x)=C$$

この関数は \(x=0\) でも定義される。

微分方程式の解法一覧

その他の微分方程式の解法は、以下の記事を参照のこと。

【全9パターン網羅】微分方程式の解法一覧
微分方程式を形状ごとに分類し、それぞれの解法を解説しています。解法の基本は変数分離形または定数係数の線形の微分方程式にあり、より複雑な微分方程式は、これらのパターンに帰着させることを目標にしていると考えると、全パターンを簡単に覚えることができます。

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