【微分方程式の解法3】1階線形

微分方程式の解法
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1階線形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説します。

その中でも特に非同次形と呼ばれる形では、両辺に適切な式をかけることで、解を直接求めることができます。

両辺にかけるべき式は積分を含み、解法を一般化すると計算式が複雑になってしまうため、例題を通して解く流れを理解することをおすすめします

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定義

\(y\) を \(x\) の関数とし、 \(P(x)\) と \(Q(x)\) が \(x\) のみからなる関数または定数のとき

$$\frac{dy}{dx}+P(x)y=Q(x)$$

の形で書ける微分方程式を1階線形といいます。

なお、 \(Q(x)=0\) のときを同次形、 \(Q(x)\neq 0\) のときを非同次形といいます。

解法

同次形( \(Q(x)=0\) )は

$$\frac{dy}{dx}=-P(x)y$$

より変数分離形に等しくなります。

変数分離形の解法は

【微分方程式の解法1】変数分離形
変数分離形と呼ばれる微分方程式の解き方について解説します。これは微分方程式の解法としてもっとも基本的なものであり、より複雑な微分方程式の解法も、式変形によりこの形に帰着させることを目標としているため、確実に習得しておきたい考え方です。

を参照してください。

非同次形( \(Q(x)\neq 0\) )の場合は、両辺に \(\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\) を掛けると

$$\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\cdot\frac{dy}{dx}+P(x)\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\cdot y=Q(x)\exp\left\{\int P(x)dx\right\}$$

より、左辺が

$$\frac{d}{dx}\left[y\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\right]$$

に等しくなるため

$$\frac{d}{dx}\left[y\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\right]=Q(x)\exp\left\{\int P(x)dx\right\}$$

$$y\exp\left\{\int P(x)dx\right\}=\int\left[Q(x)\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\right]dx+C$$

$$y=\exp\left\{\int -P(x)dx\right\}\left(\int\left[Q(x)\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\right]dx+C\right)$$

と解けます。ここで、 \(C\) は任意定数です。

実際の手順としては、 \(z=\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\) とおくと、これを両辺に掛けることで

$$\frac{d}{dx}(yz)=Q(x)z$$

の形が導かれるので、両辺を積分して

$$yz=\int Q(x)zdx+C$$

$$y=\frac{1}{z}\left\{\int Q(x)zdx+C\right\}$$

とします。

例題

$$\frac{dy}{dx}-\frac{y}{x}=x\ln x$$

\(P(x)=-\frac{1}{x}\) とおいて、

$$\int -\frac{1}{x}dx=-\ln|x|=\ln\left|\frac{1}{x}\right|$$

より、両辺に \(\exp\left\{\ln\left(\frac{1}{x}\right)\right\}=\frac{1}{x}\) を掛けます。

( \(\exp\left\{\int P(x)dx\right\}\) の計算は、両辺に掛ける値を決める際のあくまで参考です。計算結果に絶対値が付いている場合は、とりあえず絶対値を外した値を両辺に掛けてみます)

$$\frac{1}{x}\left(\frac{dy}{dx}-\frac{y}{x}\right)=\frac{1}{x}x\ln x$$

$$\frac{1}{x}\frac{dy}{dx}-\frac{1}{x^2}y=\ln x$$

$$\frac{d}{dx}\left(\frac{1}{x}y\right)=\ln x$$

と書けるので、 \(C\) を任意定数として両辺を積分して

$$\frac{y}{x}=\int\ln(x)dx+C$$

$$=\int(x)'\ln(x)dx+C$$

$$=x\ln x-\int x\frac{1}{x}dx+C$$

$$=x\ln x-\int x\frac{1}{x}dx+C$$

$$=x\ln x-\int dx+C$$

$$x\ln x-x+C$$

よって

$$y=x^2\ln x-x^2+Cx$$

微分方程式の解法一覧

その他の微分方程式の解法は、以下の記事を参照してください。

【全9パターン網羅】微分方程式の解法一覧
微分方程式を形状ごとに分類し、それぞれの解法を解説しています。解法の基本は変数分離形または定数係数の線形の微分方程式にあり、より複雑な微分方程式は、これらのパターンに帰着させることを目標にしていると考えると、全パターンを簡単に覚えることができます。

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