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MOSFETの原理と種類―NMOSとPMOS

半導体からコンピュータへ
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電子回路の基礎として欠かせないMOSFET。しかし、その構造や動作原理を理解していますか?

本記事では、PMOSとNMOSの違いも含め、MOSFETの全貌をわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、MOSFETが電圧制御のスイッチとして働く理由を理解できます

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この記事はシリーズ「半導体からコンピュータを作る」の第4章です。

過去の章で前提となる知識を解説しているため、不明点があれば参照してください。

また、記事の内容を理解した後、シリーズの他の記事を読み進めることで、半導体やコンピュータに関する知識を深めることができます。

半導体からコンピュータを作る【全9ステップ】
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MOSFETの原理

そもそもMOSFETとは?

MOSFET電界効果トランジスタFET)の1種です。

電圧によるスイッチング機能に優れているため、集積回路で最も一般的に使用されているトランジスタとなっています。

ちなみに、FETや前回紹介したバイポーラトランジスタの他にも、トランジスタには以下のような種類があります。

  • 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)
  • トレンチMOS構造アシストバイポーラ動作FET(GTBT)
  • ユニジャンクショントランジスタ(UJT)
  • プログラマブルUJT(PUT)
  • フォトトランジスタ
  • 静電誘導型トランジスタ(SIT)
  • ダーリントントランジスタ
  • パワーバイポーラトランジスタ

MOSFETの構造と作り方

あとで動作原理の説明をするために、MOSFETの各部位の名前を紹介します。

上の図はn型MOSNMOS)と呼ばれるMOSFETです。

p型半導体の基板の一部(2か所)に不純物をイオン注入してn型半導体とします。また、n型半導体間にはゲート酸化膜(上図:青長方形)を挟んだゲートG)電極を作ります。

2つのn型半導体領域はドレインD)とソースS)という端子として使用されます。つまり、MOSFETはゲートG)、ドレインD)、ソースS)の3つの端子を持ちます。

p型基盤とソースは接地され(0Vになる)、ゲートとドレインには正電圧を加えます。

この時、ゲート‐ソース間にかかる電圧を \(V_{GS}\) 、ドレイン‐ソース間にかかる電圧を \(V_{DS}\) とします。

MOSFETの動作原理

基本状態

ゲートに正電圧が印加されていない場合、ドレインとソースは分離されています。そのため、 \(V_{DS}\) をいくら大きくしてもドレイン‐ソース間には電流が流れません

しかし、ゲートに正電圧が印加するとゲート付近に電子が吸い寄せられます。この結果、反転層と呼ばれるn型半導体に似た領域が発生します(下図)。

この反転層は、いわばドレイン‐ソース間の架け橋です。この状態になれば電子がソースからドレインに移動する1続きの道ができるため、ドレイン‐ソース間に電流が流れるようになります

なお、上図で反転層の形がナナメになっているのはドレインにかかる正電圧の影響です。ゲート・ドレイン双方に正電圧がかかることでゲート‐ドレイン間の電圧( \(V_{GD}=V_{GS}-V_{DS}\) )はゲート‐ソース間の電圧よりも小さくなり、電子を吸い寄せる力が小さくなっています。

以下、各電圧の変化によるMOSFETの動作について説明します。

遮断領域

ゲートに正電圧をかけると反転層を生じますが、そのためには \(V_{GS}\) の値が一定の閾値( \(V_t\) )を超える必要があります。よって、

$$V_{GS}< V_t$$

の時にはドレイン‐ソース間には電流が流れません

このような状態を遮断領域といいます。

線形領域

逆に、 \(V_{GS}>V_t\) の時はドレイン‐ソース間には電流が流れます。その電流値は \(V_{DS}\) の上昇に比例します。

しかし、 \(V_{DS}\) が上昇するにしたがってドレイン付近の反転層は薄くなります。そして最終的には反転層の通路が途切れます。

これは、 \(V_{GD}\quad(=V_{GS}-V_{DS})\) が \(V_t\) を下回ることによって生じます(ピンチオフと呼ばれる現象です)。

\(V_{GS}>V_t\) で、ピンチオフせずにドレイン‐ソース間の電流が \(V_{DS}\) に比例する状態を線形領域といい、この時の条件は

$$V_{GS}-V_{DS}>V_t$$

です。

飽和領域

$$V_{GS}-V_{DS}< V_t$$

のとき、ピンチオフが生じて反転層の通路は断絶します(下図)。

この状態になると、 \(V_{DS}\) を上昇させてもピンチオフ点がわずかにソース側に移動するだけで、ドレイン‐ソース間の電流は変化しません。

したがって、これ以上の \(V_{DS}\) では電流は定常流となり、この状態のことを飽和状態といいます。

動作原理のまとめ

電圧変化によるMOSFETの動作条件は、以下のようにまとめられます。

状態 条件 電流
遮断領域 \(V_{GS}< V_t\) 流れない
線形領域 \(V_{GS}-V_{DS}>V_t\) \(V_{DS}\) に比例
飽和領域 \(V_{GS}-V_{DS}< V_t\) 定常流

PMOSとNMOS、その違いとは?

これまでに説明したのはn型MOSNMOS)と呼ばれる型のMOSFETです。NMOSはキャリアとして電子を使っていました。

これに対し、キャリアに電子ではなく正孔を用いるp型MOSPMOS)と呼ばれる型も存在します。

両者は、

  • ゲート-ソース間の電圧 \(V_{GS}=V_G-V_S\) による反応
  • ドレイン-ソース間に流れる電流の方向

の2点で挙動が異なります。

n型MOS(NMOS)

ゲートに正電圧がかかる( \(V_{GS}>V_t\) )とドレイン→ソース方向に電流が流れます。

p型MOS(PMOS)

ゲートに負電圧がかかる( \(V_{GS}<-V_t\) )とソース→ドレイン方向に電流が流れます。

MOSFETの用途

バイポーラトランジスタは、ベース電流の変化によってスイッチ増幅の機能を果たします。

それに対し、MOSFETゲート電圧によってスイッチングや増幅を制御します。

MOSFETのこのような性質は、消費電力の少なさという面で優れています。

またMOSFETは、その構造上集積化が容易です。その声質から、コンピュータを始めとした論理回路によく用いられています。

次回予告

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