p型半導体とn型半導体を滑らかに接合することによって、pn接合ダイオードを作ることができる(上図)。
このダイオードのp側が高電位となるように電圧をかけると、それぞれの半導体のキャリア(正孔と電子)が接近するように動き、両者は結合する(上図:赤丸は正孔、青丸は電子)。この時+極からは正孔、-極からは電子が絶えず補給され続け、ダイオードには電流が流れることになる。
しかし、今度はn側が高電位となるように電圧をかけると、正孔と電子は離れるように動き、両者は結合することはない。そのためにダイオードに電流が流れることはない。
ダイオードはこのような性質を持つため、理想的には一方向にのみ電流を流すという整流作用を持つパーツとして用いられる。上図はダイオードの回路記号であるが、ダイオードはA(アノード)からK(カソード)方向には電流を通すものの、KからAに向かう電流はシャットアウトしてくれるのである。すなわち、
ダイオードにかかる電圧と電流は、理想的には上図のように変化する。しかし、実際のダイオードで電圧と電流の関係を測定してみると下図のようになる。
この図に含まれる曲線部分は、空乏層と呼ばれる領域の存在によって説明できる。
実はpn接合ダイオードは、電圧がかかっていない場合でも、接合部付近では正孔と電子の結合が生じて打ち消し合う(上図上)。すると、この領域ではキャリアが不足した空乏層が形成される。この時、空乏層内ではp側が負、n側が正に帯電し、n→p方向(K→A方向)の電場が生じる。そのため空乏層はp→n方向(A→K方向)に電流が流れる際の障壁として働き、ダイオードにかかる電圧が小さい場合には、電圧に対する電流の反応が小さくなる。
また、空乏層という概念を導入すれば、p→n方向に電流が流れるのは「正孔と電子が補給されて空乏層が縮小するため」、n→p方向に電流が流れないのは「それぞれの半導体に逆電荷のキャリア(p型半導体には電子、n型半導体には正孔)が補給されて打ち消し合い、キャリアがさらに不足して空乏層が広がるため」と説明することができる。
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