現代社会を支えるコンピュータの進化は急速であり、その構造はもはやブラックボックスである。しかし、「計算機」としてのコンピュータの本質は、その誕生から現在まで変わらない。
本連載では、この計算を行う電子機器がどのように作られるかを素材のレベルから解説する。鍵となる素材は「半導体」であり、これを加工・接合することによって「ダイオード」や「トランジスタ」と呼ばれるパーツを作ることができる。このうち、トランジスタはスイッチ機能を有する重要なパーツであり、これを複数組み合わせることによって、「NOTゲート」・「ORゲート」・「ANDゲート」という論理を制御できる回路を組むことができる。さらにこれらのゲートを組み合わせることで「半加算器(1bit加算器)」という1桁の足し算を行う回路を作ることができ、これを任意の桁に拡張した「全加算器(n bit加算器)」こそ、コンピュータの本質ともいえる回路である。
このように、下位のパーツを組み合わせていくことでより高度なパーツを構成するという工程を繰り返してコンピュータは作られている。昨今では人工知能といった人間を凌駕するような機能を期待されているコンピュータを、素材の段階から1つ1つ組み立てていく感覚を体験してもらえたら幸いである。
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