コンパスによる正五角形の作図とその証明

数学
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相互に接する円をコンパスでいくつか描画することにより、正五角形を作図する方法があると知ったのでここに記録する。

コンパスを使って正五角形を描く

<手順1>点Oを中心とする円(円Oとする)の中に、半径が半分の円が2つ入るように作図する。(十字線は補助)

<手順2>十字線のうち、垂直な方と円Oの交点(点Pとする)を中心とし、内部の2つの円に接する円を2つ描画する(大きい円を円Po、小さい円を円Piとする)。

<手順3>点Pと反対側にある垂直線と円Oの交点(点Aとする)、円Poと円Oの2つの交点(点B, Eとする)、円Piと円Oの2つの交点(点C, Dとする)を直線で結ぶと、五角形ABCDEは正五角形となる。

正五角形であることの証明

各円の半径の計算

<手順1>で描いた2つの円の片方を円Qとし、その半径を\(r\)とおく。点Pから点Qに線を引くと、その線は円Qと円Poの交点、円Qと円Piの交点の双方を通る。

△OPQに注目すると\(OP=2r, OQ=r\)であり、\(\angle POQ=90^\circ\)より三平方の定理から、

となる。ここで、\(PQ\)は円Piと円Qの半径の和に等しいため、円Piの半径は\(\sqrt{5}r-r=(\sqrt{5}-1)r\)となる。また、\(PF\)は円Piの半径と円Qの直径の和に等しいため、\(PF=(\sqrt{5}-1)r+2r=(\sqrt{5}+1)r\)である。

辺AB(EA)の計算

点Bと点Pを結ぶと、\(PB\)と\(PF\)はともに円Poの半径であるため、\(PB=PF=(\sqrt{5}+1)r\)となる。次に△ABPに注目すると、\(\angle ABP=90^\circ\)(∵\(AP\)は円Oの直径であり、点Bも円O上の点:タレスの定理)より、三平方の定理から、

が求まる。対称形より、同様の手順により\(EA=r\sqrt{10-2\sqrt{5}}\)となる。

辺CDの計算

今度は△OCGと△PCGに注目する。\(OP=OC=2r, PC=(\sqrt{5}-1)r\)であり、\(GP=x, CG=y\)とおくと、それぞれの直角三角形についての三平方の定理から、

これを解いて、

2式の辺々を引いて、

\(r\not=0\)より、\(x=\frac{3-\sqrt{5}}{2}r\)である。よって、

以上より、\(GP=x=\frac{3-\sqrt{5}}{2}r, CG=y=\frac{r}{2}\sqrt{10-2\sqrt{5}}\)であり、\(CD=2CG=r\sqrt{10-2\sqrt{5}}\)が求まる。

辺BC(DE)の計算

次に点Bから\(AP\)に垂線を下ろし、その足を点Hとする。ここで、△PABと△PBHに注目すると、\(\angle APB\)と\(\angle BPH\)は共通で\(\angle PAB=\angle PBH=90^\circ\)より、両者は相似である。よって、

ここで、

より、

なので、

また、△PBHにおける三平方の定理から、

さらに、\(HG=PH-GP\)より、

最後に、\(CD\)の延長線上に点Bから下ろした垂線の足をIとすると、\(IG=BH=\frac{r}{2}\sqrt{10+2\sqrt{5}}, BI=HG=\sqrt{5}r\)であり、\(IC=IG-CG\)より、

よって、△BCIについての三平方の定理から、

が求まる。対称形より、同様の手順により\(DE=r\sqrt{10-2\sqrt{5}}\)となる。

結論

以上より、\(AB=BC=CD=DE=EA=r\sqrt{10-2\sqrt{5}}\)となるので、ABCDEは正五角形である。

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