\(n\) までの自然数のうち、奇数または偶数( \(n\) の偶奇と同じになるようにする)のみを取り出した場合の総和について考える。
結論として、単純な和を取った場合には \(n\) の偶奇によって表現式が異なるが、2乗して和を取った場合には偶奇によらず単一の式で和を表現できる。
この記事では、上記のことを導出する。
定義
自然数の総和についての関数 \(f(n), g(n)\) を、それぞれ以下のように定義する。
$$\begin{eqnarray}f(n)\equiv \begin{cases} n 以下の奇数の総和 \quad ( n が奇数 ) \\ n 以下の偶数の総和 \quad ( n が偶数 ) \end{cases}\end{eqnarray}$$
$$\begin{eqnarray}g(n)\equiv\begin{cases}n 以下の奇数の2乗の総和 \quad ( n が奇数 ) \\ n 以下の偶数の2乗の総和 \quad ( n が偶数 )\end{cases}\end{eqnarray}$$
定理
\(f(n), g(n)\) は、以下の式で表すことができる。
$$\begin{eqnarray}f(n)=\begin{cases}\frac{1}{4}(n+1)^{2} \quad ( n が奇数 ) \\ \frac{1}{4}n(n+2) \quad ( n が偶数 )\end{cases}\end{eqnarray}\tag{1}$$
$$g(n)=\frac{1}{6}n(n+1)(n+2)\tag{2}$$
具体例
\(f(n)\)
n | 定義 | 定理 | 値 |
---|---|---|---|
\(1\) | \(1\) | \(\frac{1}{4}(1+1)^2\) | \(1\) |
\(2\) | \(2\) | \(\frac{1}{4}\cdot 2(2+2)\) | \(2\) |
\(3\) | \(1+3\) | \(\frac{1}{4}(3+1)^2\) | \(4\) |
\(4\) | \(2+4\) | \(\frac{1}{4}\cdot 4(4+2)\) | \(6\) |
\(5\) | \(1+3+5\) | \(\frac{1}{4}(5+1)^2\) | \(9\) |
\(6\) | \(2+4+6\) | \(\frac{1}{4}\cdot 6(6+2)\) | \(12\) |
\(g(n)\)
n | 定義 | 定理 | 値 |
---|---|---|---|
\(1\) | \(1^2\) | \(\frac{1}{6}\cdot 1(1+1)(1+2)\) | \(1\) |
\(2\) | \(2^2\) | \(\frac{1}{6}\cdot 2(2+1)(2+2)\) | \(4\) |
\(3\) | \(1^2+3^2\) | \(\frac{1}{6}\cdot 3(3+1)(3+2)\) | \(10\) |
\(4\) | \(2^2+4^2\) | \(\frac{1}{6}\cdot 4(4+1)(4+2)\) | \(20\) |
\(5\) | \(1^2+3^2+5^2\) | \(\frac{1}{6}\cdot 5(5+1)(5+2)\) | \(35\) |
\(6\) | \(2^2+4^2+6^2\) | \(\frac{1}{6}\cdot 6(6+1)(6+2)\) | \(56\) |
証明
奇数(偶数)の総和
定義より、 \(f(n)\) は以下の関係式で書き換えることができる。
$$\begin{eqnarray}f(n)=\begin{cases}\sum_{k=1}^{\frac{n+1}{2}}(2k-1) \quad ( n が奇数 ) \\ \sum_{k=1}^{\frac{n}{2}}2k \quad ( n が偶数 )\end{cases}\end{eqnarray}$$
\(l=\frac{n+1}{2}, m=\frac{n}{2}\) とおいて、それぞれを計算すると
$$\sum_{k=1}^{l}(2k-1)=2\cdot\frac{1}{2}l(l+1)-l$$
$$=l^{2}=\frac{1}{4}(n+1)^{2}.$$
$$\sum_{k=1}^{m}2k=2\cdot\frac{1}{2}m(m+1)$$
$$=\frac{n}{2}\left(\frac{n}{2}+1\right)=\frac{1}{4}n(n+2).$$
より、式 \((1)\) が導かれる。
ここで、 \(\sum_{k=1}^{n}1=n, \sum_{k=1}^{n}k=\frac{1}{2}n(n+1)\) の関係式を用いた。
奇数(偶数)の2乗の総和
定義より、 \(g(n)\) は以下の関係式で書き換えることができる。
$$\begin{eqnarray}g(n)=\begin{cases}\sum_{k=1}^{\frac{n+1}{2}}(2k-1)^2 \quad ( n が奇数 ) \\ \sum_{k=1}^{\frac{n}{2}}(2k)^2 \quad ( n が偶数 )\end{cases}\end{eqnarray}$$
\(l=\frac{n+1}{2}, m=\frac{n}{2}\) とおいて、それぞれを計算すると
$$\sum_{k=1}^{l}(2k-1)^{2}=\sum_{k=1}^{l}4k^{2}-4k+1$$
$$=4\cdot\frac{1}{6}l(l+1)(2l+1)-4\cdot\frac{1}{2}l(l+1)+l$$
$$=\frac{1}{6}(n+1)(n+3)(n+2)-\frac{1}{2}(n+1)(n+3)+\frac{n+1}{2}$$
$$=\frac{1}{6}(n+1)\left[(n+3)\left\{(n+2)-3\right\}+3\right]$$
$$=\frac{1}{6}(n+1)\left\{(n+3)(n-1)+3\right\}$$
$$=\frac{1}{6}(n+1)(n^{2}+2n)$$
$$=\frac{1}{6}n(n+1)(n+2).$$
$$\sum_{k=1}^{m}(2k)^{2}=\sum_{k=1}^{m}4k^{2}$$
$$=4\cdot\frac{1}{6}m(m+1)(2m+1)$$
$$=\frac{1}{6}n(n+1)(n+2).$$
となり、奇数・偶数によらず結果が等しいことがわかる。
ここで、 \(\sum_{k=1}^{n}k^{2}=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\) の関係式を用いた。
以上より、式 \((2)\) が導かれた。
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