確率変数の線形変換

確率・統計
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確率変数の線形変換の公式

確率変数 \(X\) は確率密度関数 \(f(x)\) にしたがうとします。

確率変数の線形変換

$$Y=aX+b$$

(ただし、 \(a\neq0\) )を行ったとき、 \(Y\) の確率密度関数 \(g(y)\) は

$$g(y)=\frac{1}{|a|}f\left(\frac{y-b}{a}\right)$$

とあらわせます。

公式の証明

累積分布関数の設定

\(X\) の累積分布関数を \(F(x)\) とします。

すなわち

$$\mathrm{Pr}(X\leq x)=F(x)$$

と書けます。( \(\mathrm{Pr}(A)\) は、 \(A\) が生じる確率を表す)

同様に、 \(Y\) について

$$\mathrm{Pr}(Y\leq y)=G(x)\tag{1}$$

となる累積分布関数 \(G(y)\) を考えます。

式 \((1)\) の左辺における確率を \(X\) を用いて書き換えると

$$G(y)=\mathrm{Pr}(aX+b\leq y)=\mathrm{Pr}(aX\leq y-b)$$

となります。

ここで、

1. \(a > 0\) のとき

$$G(y)=\mathrm{Pr}\left(X\leq\frac{y-b}{a}\right)=F\left(\frac{y-b}{a}\right)$$

したがって

$$g(y)=\frac{\partial}{\partial y}G(y)$$

$$=\frac{\partial}{\partial y}F\left(\frac{y-b}{a}\right)=\frac{1}{a}f\left(\frac{y-b}{a}\right)\tag{2}$$

2. \(a < 0\) のとき

$$G(y)=\mathrm{Pr}\left(X\geq\frac{y-b}{a}\right)=1-F\left(\frac{y-b}{a}\right)$$

したがって

$$g(y)=\frac{\partial}{\partial y}G(y)$$

$$=\frac{\partial}{\partial y}\left\{1-F\left(\frac{y-b}{a}\right)\right\}=-\frac{1}{a}f\left(\frac{y-b}{a}\right)\tag{3}$$

結論

以上、式 \((2),(3)\) を総合して

$$g(y)=\frac{1}{|a|}f\left(\frac{y-b}{a}\right)$$

参考

より詳しい議論については、以下の記事が参考になります。

確率密度関数における変数変換の公式と、その考え方
確率密度関数は積分を用いて確率を表現する方法です。そのため、確率変数を変換した際には置換積分を応用することで、対応する確率密度関数を求めることができます。この記事では、確率密度関数やヤコビアンの性質からスタートし、確率密度関数を変換する公式と考え方について解説します。

Comments

  1. iwkjosec より:

    b ≠ 0 ではなく a ≠ 0ではないでしょうか

  2. iwkjosec より:

    (2)と(3)の右辺の F は f だと思います