中原幹夫「量子物理学のための線形代数 =ベクトルから量子情報へ」p.52 キャンベル-ポアンカレの公式の証明について

中原幹夫「量子物理学のための線形代数 =ベクトルから量子情報へ」の52ページ、命題3.5のキャンベル-ポアンカレの公式の証明について、誤植を(多分)見つけたので指摘しておく。

$$\frac{d}{dt}[e^{-sY(t)}\frac{d}{dt}e^{sY(t)}]$$

$$=e^{-sY(t)}[-Y(t)]\frac{d}{dt}e^{sY(t)}+e^{-sY(t)}\frac{d}{dt}[Y(t)e^{sY(t)}]$$

$$=e^{-sY(t)}[-Y(t)]\frac{d}{dt}e^{sY(t)}+e^{-sY(t)}Y'(t)\frac{d}{dt}e^{sY(t)}+e^{-sY(t)}Y(t)\frac{d}{dt}[e^{sY(t)}]$$

$$=e^{-sY(t)}Y'(t)e^{sY(t)}$$

$$=\sum_{k=0}^\infty \frac{[Y(t),)^{k}Y'(t)}{k!}(-s)^{k}$$

となっているが、第2式→第3式への変換は、第2式の第2項を合成関数の微分の公式 \((f(x)g(x))’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\) により微分したものであるため、第3式は第2項の \(\frac{d}{dt}\) が不要で

$$=e^{-sY(t)}[-Y(t)]\frac{d}{dt}e^{sY(t)}+e^{-sY(t)}Y'(t)e^{sY(t)}+e^{-sY(t)}Y(t)\frac{d}{dt}[e^{sY(t)}]$$

が正しい。これにより、第3式→第4式は、第3式の第1・第3項が消えて第2項だけが残り、スムーズに変換できる。

【参考文献】

  1. 中原幹夫「量子物理学のための線形代数 =ベクトルから量子情報へ」(2016)培風館.
神経科学を研究している博士学生。Python, Rust, C/C++, C#, Julia, Common Lisp, Unityを活用して、世界の様々な現象をシミュレート・分析しています。理系分野だけでなく、政治学や社会学も、もちろん分析対象です。

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