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ケーリー変換の証明

自然科学
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ケーリー変換とは、エルミート行列 \(H\in M(n;\Bbb C)\) を用いて \(U:=(I+iH)(I-iH)^{-1}\) と定義することで、ユニタリー行列 \(U\) を導く変換である。

これを証明する前に、知識として必要なエルミート共役・エルミート行列の性質について示す。

\(A,B\in M(m,n;\Bbb C), c\in \Bbb C\) に対して、

  1. \((cA)^{\dagger}=c^*A^{\dagger}\)
  2. \((A+B)^{\dagger}=A^{\dagger}+B^{\dagger}\)
  3. \(Aが正則\Leftrightarrow A^{\dagger}が正則\)
  4. 3.のとき、 \((A^{-1})^{\dagger}=(A^{\dagger})^{-1}\)

が成り立つ。また以上の性質より、エルミート行列 \(H\in M(n;\Bbb C)\) について $$(iH)^{\dagger}=i^*H^{\dagger}=-iH \tag{1}$$

が導ける。

以下、ケーリー変換の証明。

$$(I+iH)(I-iH)=(I-iH)(I+iH) \tag{2}$$

より、左右から \((I+iH)^{-1}\) をかけて、

$$(I+iH)^{-1}(I+iH)(I-iH)(I+iH)^{-1}=(I+iH)^{-1}(I-iH)(I+iH)(I+iH)^{-1} \tag{3}$$
]$$(I-iH)(I+iH)^{-1}=(I+iH)^{-1}(I-iH)(I+iH)(I+iH)^{-1} \tag{4}$$

また、

$$U^{\dagger}U=\lbrace (I+iH)(I-iH)^{-1}\rbrace ^{\dagger}(I+iH)(I-iH)^{-1} \tag{5}$$
$$=\lbrace (I-iH)^{-1}\rbrace ^{\dagger}(I+iH)^{\dagger}(I+iH)(I-iH)^{-1} \tag{6}$$
$$=\lbrace (I-iH)^{\dagger}\rbrace ^{-1}(I+iH)^{\dagger}(I+iH)(I-iH)^{-1} \tag{7}$$
$$=\lbrace (I^{\dagger}-(iH)^{\dagger})\rbrace ^{-1}(I^{\dagger}+(iH)^{\dagger})(I+iH)(I-iH)^{-1} \tag{8}$$

式 (1) より、

$$U^{\dagger}U=(I+iH)^{-1}(I-iH)(I+iH)(I-iH)^{-1} \tag{9}$$

式 (4) より、

$$U^{\dagger}U=(I+iH)^{-1}(I-iH)(I-iH)^{-1}(I+iH)=I \tag{10}$$

よって \(U^{\dagger}U=I\) すなわち \(U^{\dagger}=U^{-1}\) より、 \(U\) はユニタリー行列である。

【参考文献】

  1. 中原幹夫「量子物理学のための線形代数 =ベクトルから量子情報へ」(2016)培風館.
    • p.23 問 2.3 参照。記号の用法は全てこの本に従った。
  2. 随伴行列 – Wikipedia (2018年9月2日07:30閲覧)

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コメント

  1. yoshi より:

    1+iHが正則行列であることを証明しないといけないと思います.