中原幹夫「量子物理学のための線形代数 =ベクトルから量子情報へ」p.53 ベイカー-キャンベル‐ハウスドルフの公式の応用について

量子論
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p.53の内容は、\(e^{tA}e^{tB}=e^{Z(A,B;t)}\)を満たす\(Z(A,B;t)\)の一般的な計算(ただし、\(Z(A,B;t)=\sum_{k=0}^\infty Z_kt^k\))である。

\(Z_3, Z_4\)の計算において、18行目の式が

となっているが、式(3.11)

における左辺の分子の\(k=0,k=1,k=2\)における展開式と、左辺の分母\((k+1)!\)を考え合わせると、18行目の式は

が正しい。実際に、

を代入すると、

①左辺第2項

②左辺第3項

より、

となり、20行目の結果と一致する。なお、以上の計算で用いた関係式は、

  • \([A,B]=-[B,A]\)
  • \([cA,dB]=cd[A,B]\)(ただし、c, dは実数)
  • \([A,B]+[A,C]=[A,B+C]\)

である。

【参考文献】

  1. 中原幹夫「量子物理学のための線形代数 =ベクトルから量子情報へ」(2016)培風館.

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