一様分布の定義・性質とその証明

確率・統計
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定義

連続変数 \(x\) が、有限区間 \(x\in[a,b]\) で一様分布する場合、その確率密度関数 \(p(x)\) は

$$p(x)=\frac{1}{b-a}$$

で定義される。

より一般に、分布が一様分布であることを明示して

$$p(x)=U(x|a,b)=\frac{1}{b-a}$$

とも書かれる。

性質

公式

平均

$$\mathbb{E}[x]=\frac{(b+a)}{2}$$

分散

$$\mathrm{var}[x]=\frac{(b-a)^{2}}{12}$$

エントロピー

$$\mathrm{H}[x]=\ln{(b-a)}$$

公式の証明

平均

$$\mathbb{E}[x]=\int_{a}^{b}\frac{x}{b-a}dx=\frac{1}{b-a}\left[\frac{1}{x^{2}}\right]_{a}^{b}$$

$$=\frac{b^{2}-a^{2}}{2(b-a)}=\frac{(b+a)}{2}$$

分散

$$\mathrm{var}[x]=\mathbb{E}[x^{2}]-(\mathbb{E}[x])^{2}=\int_{a}^{b}\frac{x^{2}}{b-a}dx-\left(\frac{(b+a)}{2}\right)^{2}$$

$$=\frac{b^{3}-a^{3}}{3(b-a)}-\frac{(b+a)^{2}}{4}=\frac{b^{2}+ba+a^{2}}{3}-\frac{(b+a)^{2}}{4}=\frac{(b-a)^{2}}{12}$$

エントロピー

$$\mathrm{H}[x]=-\int_{a}^{b}\frac{1}{b-a}\ln{\frac{1}{b-a}}dx=\frac{1}{b-a}\ln{(b-a)}\int_{a}^{b}dx$$

$$=\left\{\frac{1}{b-a}\ln{(b-a)}\right\}(b-a)=\ln{(b-a)}$$

内分点に関する定理

変数 \(x\) の分布が \(U(x|0,1)\) であるとき、変数 \(y=a+(b-a)x\) の分布は

$$U(y|a,b)$$

となる。

内分点に関する定理の解説

上記の定理は、区間 \(y\in[a,b]\) を内分する点 \(y\) に関する性質を表している。

\(y=a+(b-a)x=(1-x)a+bx\) を図示すると、以下のような関係になる。

(上図では、内分をベクトル的にとらえやすくするため、本来数直線上にある原点を外部に置いた。内分点のベクトル表現については、各種高校数学の教科書を参照)

したがって、区間 \(y\in[a,b]\) を内分する点 \(y\) の一様分布を考える問題は、点 \(a\) からの距離の割合 \(x\) を \(x\in[0,1]\) の範囲で一様分布させることに帰着できる。

よくある誤解

定義式より、区間 \(x\in[0,1]\) の一様分布は

$$p(x)=1\left(=\frac{1}{1-0}\right)$$

で表される。

しかし、これはあくまで確率密度関数についての表現であり、「確率変数が、とある \(x\) の値をとる確率が1(100%)」の意味ではないことに注意せよ。

実際、

$$\int_{0}^{1}p(x)dx=\int_{0}^{1}1dx=[x]_{0}^{1}=1-0=1$$

が成り立つ。

確率変数と確率密度関数については

【図解】確率変数と確率密度関数を正確に、そして直観的に理解する
確率論で用いられる確率質量関数と確率密度関数について、確率変数の定義から出発して、実例や用途に基づいて直観的に解説します。これらの用語は非常に誤解しやすいのですが、この記事を読むことで、それぞれの正確な意味を押さえ、関連する性質や定理についての理解を早めることができるようになります。

を参照のこと。

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