定理
\(x\) と \(x'\) が独立に正規分布 \(\mathcal{N}(\mu,\sigma)\) に従うとき、定数 \(a,b\) を用いて作られる確率変数 \(ax+bx'\) は、平均 \((a+b)\mu\) 、分散 \(\sigma^2(a^2+b^2)\) の正規分布に従う。
証明
とおき、この \(v\) の確率分布 \(p(v)\) を考える。上式を変形すると
となるが、ここで
とおくと、逆関数が一意に定義できる場合の確率密度関数の変換公式
確率密度関数 \(p(x)\) に従う確率変数 \(x\) が \(y=tx+b\) として変換されるとき、 \(y\) の確率密度関数 \(q(y)\) は
$$q(y) = \frac{1}{|t|}p(\frac{y-b}{t}) \tag{1}$$と表される。
https://ushitora.net/archives/954
(上のページ中で導出されている変換公式は、この後の証明でも度々利用する)
より、 \(x_1,x_2\) のそれぞれが独立に標準正規分布 \(\mathcal{N}(0,1)\) に従うことがわかる。
(なぜならば、
より
であり、ここで
を代入すると
が導かれ、 \(x_2\) についても同様である。)
次に、 \(v\) についての一次式で表される
の確率分布について考える。このとき
(ただし、 \(\beta=\frac{b}{a}\))と表せることに注目すると、現在考えているのは、標準正規分布 \(\mathcal{N}(0,1)\) に独立に従う確率変数 \(x_1,x_2\) から作られる確率変数 \(u\) の分布関数 \(q(u)\) を求めるという問題であることがわかる。ここで、逆変換が一意に存在しない場合の確率密度関数の変換公式
\(M\) 次元の確率変数 \({\bf x}=(x_1,x_2,\cdots,x_M)\) が、 \(z=f({\bf x})=f(x_1,x_2,\cdots,x_M)\) によって \(1\) 次元の確率変数 \(z\) に変換されるとき、 \(z\) の確率密度関数 \(q(z)\) は、 \({\bf x}\) の確率密度関数 \(p(x_1,x_2,\cdots,x_M)\) を用いて
$$q(z)=\int_{R}\delta(z-f(x_1,x_2,\cdots,x_M))p(x_1,x_2,\cdots,x_M)d{\bf x}$$と表される。
より
が成り立ち、先に \(x_1\) についての積分を実行すると、ディラックのデルタ関数の性質
$$\int_{-\infty}^{\infty}f(x)\delta(x-a)dx=f(a)$$$$\delta(-x)=\delta(x)$$https://ushitora.net/archives/897
より
となる。ここに、 \(u-\beta x_2\) と \(x_2\) についての標準正規分布
を代入して
が得られる。最後にガウス積分
\(a>0\) のとき
$$\int_{-\infty}^{\infty}\exp(-ax^2+bx+c)dx = \sqrt{\frac{\pi}{a}}\exp(\frac{b^2}{4a}+c)$$
より
が導かれる。ここで、 \((2)\) 式より
であることから、 \((1)\) 式より
となる。 \(\beta=\frac{b}{a}\) を代入して計算すると
より
が導かれる。
コメント
こういう理論部分のつながりは、なかなか調べても出てこなかった内容なのでスゴク有難いです。
応援しております。
今後も投稿お待ちしております。