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確率変数の列の収束とスラツキーの定理

自然科学
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概要

この記事では、確率変数の列の収束の概念を、確率収束と分布収束の2様式から説明する。

また、それらがみたす関係について紹介し、そこから派生したスラツキーの定理についても取り扱う。

最後に、それぞれの公式・定理についての証明を付した。

表記

確率変数の列 \(U_1,U_2,\ldots\) を \(\{U_n\}_{n=1,2,\ldots}\) と表記する。

確率収束

確率変数の列 \(\{U_n\}_{n=1,2,\ldots}\) が確率変数 \(U\) に確率収束 (convergence in probability) することを

$$U_n\to_pU$$

で表す。これは任意の \(\varepsilon>0\) に対して

$$\lim_{n\to\infty}P(|U_n-U|\geq\varepsilon)=0$$

を意味する。

分布収束

確率変数の列 \(\{U_n\}_{n=1,2,\ldots}\) が確率変数 \(U\) に分布収束 (convergence in distribution) することを

$$U_n\to_dU$$

で表す。これは

$$\lim_{n\to\infty}P(U_n\leq x)=P(U\leq x)=F_U(x)$$

を意味する。

公式

確率・分布収束間には以下の関係が成り立つ。

$$U_n\to_pU\text{ならば}U_n\to_dU\tag{1}$$

$$a\text{を定数とするとき、}U_n\to_da\text{ならば}U_n\to_pa\tag{2}$$

スラツキーの定理

確率変数の列 \(\{U_n\}_{n=1,2,\ldots},\{V_n\}_{n=1,2,\ldots}\) と確率変数 \(U,\) 定数 \(a\) について \(U_n\to_dU,V_n\to_pa\) とする。このとき

$$U_n+V_n\to_dU+a\tag{3}$$

$$U_nV_n\to_daU\tag{4}$$

が成り立つ。

証明

証明の準備

不等式の導入

確率変数 \(S,T\) と実数 \(w\) と \(\varepsilon>0\) に対して、不等式

$$P(S\leq w-\varepsilon)-P(|S-T|>\varepsilon)$$

$$\leq P(T\leq w)$$

$$\leq P(S\leq w+\varepsilon)+P(|S-T|>\varepsilon)\tag{5}$$

が成り立つ。

不等式の証明

$$P(T\leq w)=P(T\leq w,|S-T|\leq\varepsilon)+P(T\leq w,|S-T|>\varepsilon)$$

$$\leq P(S\leq w+\varepsilon)+P(|S-T|>\varepsilon)\tag{6}$$

より、2・3段目の不等式が成り立つ。ここで、 \(T\leq w,|S-T|\leq\varepsilon\Rightarrow S\leq w+\varepsilon\) が成り立つことを用いた。

具体的には、 \(T\leq w\) のとき \(S-T\geq S-w\) であり、 \(|S-T|\leq\varepsilon\Leftrightarrow-\varepsilon\leq S-T\leq\varepsilon\) と合わせると \(S-w\leq \varepsilon\) が導かれる。

また、式 \((6)\) の \(w\) を \(w-\varepsilon\) に置き換え、 \(S, T\) を交換すると

$$P(S\leq w-\varepsilon)\leq P(T\leq w)+P(|T-S|>\varepsilon)$$

が導かれ、これを変形すると式 \((5)\) の1・2段目の不等式が得られる。

(1) の証明

不等式 \((5)\) で \(S=U,T=U_n,w=x\) とおくと

$$P(U\leq x-\varepsilon)-P(|U-U_n|>\varepsilon)\leq P(U_n\leq x)\leq P(U\leq x+\varepsilon)+P(|U-U_n|>\varepsilon)$$

となる。ここで、 \(U_n\to_pU\) より、 \(n\to\infty\) とすると

$$P(U\leq x-\varepsilon)\leq\lim_{n\to\infty}P(U_n\leq x)\leq P(U\leq x+\varepsilon)$$

が得られる。 \(x\) は連続より、 \(\varepsilon\) を小さくすることによって

$$\lim_{n\to\infty}P(U_n\leq x)=P(U\leq x)$$

すなわち \(U_n\to_dU\) となる。

(2) の証明

$$P(|U_n-a|>\varepsilon)=P(U_n>a+\varepsilon)+P(U_n< a+\varepsilon)$$

$$\leq 1-P(U_n\leq a+\varepsilon)+P(U_n\leq a+\varepsilon)\tag{7}$$

の関係式を考える。 \(U_n\to_da\) は

$$P(U=x)=\begin{cases}1&&(x=a)\\0&&(\text{else})\end{cases}$$

となる確率分布に \(U_n\) が収束することを意味するので、

$$\lim_{n\to\infty}P(U_n\leq a+\varepsilon)=1$$

$$\lim_{n\to\infty}P(U_n\leq a-\varepsilon)=0$$

となる。これを式 \((7)\) に代入すると

$$\lim_{n\to\infty}P(|U_n-a|>\varepsilon)=0$$

が導かれる。

(3) の証明

\(x\) を \(U\) の分布関数の連続点とし、不等式 \((5)\) で \(S=U_n+a,T=U_n+V_n,w=x\) とおくと

$$P(U_n+a\leq x-\varepsilon)-P(|a-V_n|>\varepsilon)\leq P(U_n+V_n\leq x)\leq P(U_n+a\leq x+\varepsilon)+P(|a-V_n|>\varepsilon)$$

$$P(U_n\leq x-a-\varepsilon)-P(|V_n-a|>\varepsilon)\leq P(U_n+V_n\leq x)\leq P(U_n\leq x-a+\varepsilon)+P(|V_n-a|>\varepsilon)$$

となり、

$$U_n\to_dU\Leftrightarrow\begin{cases}\lim_{n\to\infty} P(U_n\leq x-a-\varepsilon)=P(U\leq x-a-\varepsilon)\\ \lim_{n\to\infty} P(U_n\leq x-a+\varepsilon)=P(U\leq x-a+\varepsilon)\end{cases}$$

$$V_n\to_pa\Leftrightarrow P(|V_n-a|>\varepsilon)=0$$

となることを考慮して極限をとると

$$P(U\leq x-a-\varepsilon)\leq\lim_{n\to\infty}P(U_n+V_n\leq x)\leq P(U\leq x-a+\varepsilon)$$

が得られる。ここで \(\varepsilon\to 0\) とすることにより

$$P(U\leq x-a)\leq\lim_{n\to\infty}P(U_n+V_n\leq x)\leq P(U\leq x-a)$$

$$\lim_{n\to\infty}P(U_n+V_n\leq x)=P(U+a\leq x)$$

すなわち \(U_n+V_n\to_dU+a\) が導かれる。

(4) の証明

$$U_nV_n=aU_n+U_n(V_n-a)$$

と変形する。 \(aU_n\to_daU\) であることを考慮すると、 \(U_n(V_n-a)\to_p0\) を証明することができれば、公式 \((3)\) において \(U_n\leftarrow aU_n, V_n\leftarrow U_n(V_n-a)\) とすることにより、

$$U_nV_n=aU_n+U_n(V_n-a)\to_daU$$

が得られる。

$$P(|U_n(V_n-a)|>\varepsilon)=P(|U_n(V_n-a)|>\varepsilon,|V_n-a|\leq\delta)+P(|U_n(V_n-a)|>\varepsilon,|V_n-a|>\delta)$$

$$\leq P(|U_n|>\frac{\varepsilon}{\delta})+P(|V_n-a|>\delta)$$

より、 \(V_n\to_pa\Leftrightarrow\lim_{n\to\infty}P(|V_n-a|>\delta)=0\) を考慮して両辺の極限をとると、

$$\lim_{n\to\infty}P(|U_n(V_n-a)|>\varepsilon)\leq P(|U|>\frac{\varepsilon}{\delta})$$

となり、 \(\delta\to 0\) とすると \(U_n(V_n-a)\to_p 0\) が導かれる。

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