概要
現在利用されているRustのバージョンを調べ、異なるバージョンのRustをインストールして利用する方法について解説する。
この記事を読むことで、チームメイトや技術書の著者とRustのバージョンを合わせたり、ツールが正常に動作するようにRustのバージョンを切り替えたりすることができるようになる。
現在のバージョンを調べる
C:\hogehoge>rustc -V
rustc 1.69.0 (84c898d65 2023-04-16)
上記のコマンドで、現在のRustのバージョンが調べられる。
出力から、 現在のバージョンが1.69であることがわかる。
欲しいバージョンのRustをインストール
C:\hogehoge>rustup toolchain add 1.68
上記のコマンドにより、バージョン1.68のRust toolchainをインストールできる。
インストールされたことを確認
C:\hogehoge>rustup toolchain list
stable-x86_64-pc-windows-msvc (default)
nightly-2020-01-02-x86_64-pc-windows-msvc
nightly-x86_64-pc-windows-msvc
1.68-x86_64-pc-windows-msvc
上記のコマンドで、インストールされているtoolchainの一覧を取得できる。
出力の一番下の行に、バージョン1.68のtoolchainがインストールされたことが表示されている。
default toolchainの切り替え
C:\hogehoge>rustup toolchain list
stable-x86_64-pc-windows-msvc (default)
nightly-2020-01-02-x86_64-pc-windows-msvc
nightly-x86_64-pc-windows-msvc
1.68-x86_64-pc-windows-msvc
先程の出力の一番上の行を見ると、末尾に(default)
の表示がある。
これは現在、
- stable
- nightly-2020
- nightly-x86
- 1.68
の4種類のtoolchainがインストールされているが、開発に使用しているのは「stable(今回はバージョン1.69に相当)」であることを示している。
よって、インストールしたバージョン1.68を使用するためには、この(default)
を変更する必要がある。
C:\hogehoge>rustup default 1.68-x86_64-pc-windows-msvc
上記のコマンドにより、(default)
を1.68に変更することができ、
C:\hogehoge>rustup toolchain list
stable-x86_64-pc-windows-msvc
nightly-2020-01-02-x86_64-pc-windows-msvc
nightly-x86_64-pc-windows-msvc
1.68-x86_64-pc-windows-msvc (default)
のように、表示が切り替わる。
また、最初のコマンドで直接Rustのバージョンを確認しても、バージョン変更が完了していることがわかる。
C:\hogehoge>rustc -V
rustc 1.68.2 (9eb3afe9e 2023-03-27)
(必要なら)開発ターゲットやツールをインストール
Rustのバージョンを新規にインストールした場合、それに対応する開発ターゲットやツールは、何もインストールされていない空っぽの状態である。
そのため、必要であればそれらをインストールする。
以下は組込み開発用に、開発ターゲットとしてthumbv6m-none-eabi
と、書き込みツールであるelf2uf2-rs
をインストールする例である。
C:\hogehoge>rustup target add thumbv6m-none-eabi
C:\hogehoge>cargo install elf2uf2-rs -–locked
参考文献
本記事の内容は、艮電算術研究所が発行する電子書籍
「Rust x Raspberry Pi Picoで実装する IMUからの姿勢情報の取得と応用」
に記載されている。
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