ストレートに積分ができない場合には、式のパーツを適切に置き換えて、置換積分をする必要があります。しかし、状況によってはトリッキーな置き換え方をしなければなりません。
この記事では、特殊な置き換えが必要になる置換積分のパターンを全9通り紹介しています。
置換積分とは
$$\int f(x)dx$$
という \(x\) に関する積分をストレートに計算することができないとき、
$$x=\phi(t)$$
のような置き換えを行います。このとき、積分する変数が \(x\) から \(t\) に変わるので、 \(dx\) も \(dt\) に書き換える必要があります。
$$\frac{dx}{dt}=\phi'(t)\Leftrightarrow dx=\phi'(t)dt$$
より、
$$\int f(x)dx=\int f(\phi(t))\phi'(t)dt$$
と書き換えることができます。この計算を置換積分といいます。以上より、置換積分で重要なことは
- どのような置き換えを行うか( \(x=\phi(t)\) )
- \(dx\) と \(dt\) の関係
- 被積分関数がどう書き換わるか( \(f(x)=f(\phi(t))\) )
の3項目であることがわかります。この記事では、全9パターンの置換積分について、これらの項目を解説します。
置換積分の解法一覧
三角関数を使って置換するパターン
- \(\sqrt{a^2-x^2}\quad(a>0)\)
- \(\sqrt{x^2+a^2}\) あるいは \(\frac{1}{x^2+a^2}\quad(a>0)\)
- \(\sqrt{x^2-a^2}\quad(a>0)\)
これらのパターンは、 \(x\) を \(a\sin\theta,a\tan\theta,\frac{a}{\cos\theta}\) などの三角関数を用いて置き換えます。
むしろ式が複雑になるような気もしますが、三平方の定理などの特性を活かして、変換後の式が簡単になるように工夫されています。
三角関数を置換するパターン
- \(\sin\theta,\cos\theta\)
これらの三角関数を多く含む関数に対しては、 \(\tan\frac{\theta}{2}=t\) という置き換えを行います。
これにより、 \(\sin\theta, \cos\theta\) を一括して変換することができます。
指数関数を置換するパターン
- \(e^x\)
\(e^x\) を多く含む関数に対しては、とりあえず \(e^x=t\) という置き換えを行います。 \((e^x)’=e^x\) という性質があるので、 \(dx\) の変換も簡単です。
式の形によっては、より優れた置き換えができる場合もありますが、それらをすべて暗記するのは不可能です。しかし、より優れた置換方法がある場合でも、とりあえず \(e^x\) という置き換えをしておけば、答えにたどり着くことはできます。