積分したい式の中にsinやcosが多く含まれているときに、tanによる置換積分を行うと計算が楽になるパターンを紹介します。
sin, cosを置換するのにtanを使用するのは計算を複雑にしているように感じるかもしれませんが、倍角の公式を使うと、tanが最も置き換えに適した関数であることがわかります。
\(\sin\theta, \cos\theta\) に対する置換積分
解法
$$\tan\frac{\theta}{2}=t$$
とおきます。
dθの変換
$$\frac{dt}{d\theta}=\frac{1}{2\cos^2\frac{\theta}{2}}$$
$$=\frac{1+\tan^2\frac{\theta}{2}}{2}=\frac{1+t^2}{2}$$
より、
$$d\theta=\frac{2}{1+t^2}\cdot dt$$
被積分関数の変換
倍角の公式を利用します。
$$\sin\theta=2\sin\frac{\theta}{2}\cos\frac{\theta}{2}$$
$$=2\tan\frac{\theta}{2}\cos^2\frac{\theta}{2}=\frac{2\tan\frac{\theta}{2}}{1+\tan^2\frac{\theta}{2}}=\frac{2t}{1+t^2}$$
また、
$$\cos\theta=2\cos^2\frac{\theta}{2}-1$$
$$=\frac{2}{1+\tan^2\frac{\theta}{2}}-1=\frac{2}{1+t^2}-1=\frac{1-t^2}{1+t^2}$$
と変換できます。
例題
$$\int\frac{1+\sin\theta}{\sin\theta(1+\cos\theta)}d\theta$$
を計算せよ。
\(\tan\frac{\theta}{2}=t\) とおくと
$$d\theta=\frac{2}{1+t^2}\cdot dt,\quad\sin\theta=\frac{2t}{1+t^2},\quad\cos\theta=\frac{1-t^2}{1+t^2}$$
より、
$$\int\frac{1+\sin\theta}{\sin\theta(1+\cos\theta)}d\theta=\int\frac{1+\frac{2t}{1+t^2}}{\frac{2t}{1+t^2}(1+\frac{1-t^2}{1+t^2})}\cdot\frac{2}{1+t^2}\cdot dt$$
$$=\int\frac{1+t^2+2t}{2t}dt=\frac{1}{2}\int\left(t+2+\frac{1}{t}\right)dt$$
$$\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}t^2+2t+\log|t|\right)+C$$
$$=\frac{1}{4}\tan^2\frac{\theta}{2}+\tan\frac{\theta}{2}+\frac{1}{2}\log\left|\tan\frac{\theta}{2}\right|+C$$
ただし、 \(C\) は任意の定数です。
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