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【置換積分の解法2】三角関数をtanで置換する

置換積分の解法
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積分したい式の中にsinやcosが多く含まれているときに、tanによる置換積分を行うと計算が楽になるパターンを紹介します。

sin, cosを置換するのにtanを使用するのは計算を複雑にしているように感じるかもしれませんが、倍角の公式を使うと、tanが最も置き換えに適した関数であることがわかります

\(\sin\theta, \cos\theta\) に対する置換積分

解法

$$\tan\frac{\theta}{2}=t$$

とおきます。

dθの変換

$$\frac{dt}{d\theta}=\frac{1}{2\cos^2\frac{\theta}{2}}$$

$$=\frac{1+\tan^2\frac{\theta}{2}}{2}=\frac{1+t^2}{2}$$

より、

$$d\theta=\frac{2}{1+t^2}\cdot dt$$

被積分関数の変換

倍角の公式を利用します。

【三角関数の公式】倍角・三倍角・半角の公式と、加法定理から導出する方法
三角関数の倍角・三倍角・半角の公式を紹介し、それぞれを加法定理から導出します。基本的な考え方として、2θ=θ+θという変形を行うことで加法定理を使えるようにします。この導出テクニックを理解することで、暗記の手間を大きく減らすことができます。

$$\sin\theta=2\sin\frac{\theta}{2}\cos\frac{\theta}{2}$$

$$=2\tan\frac{\theta}{2}\cos^2\frac{\theta}{2}=\frac{2\tan\frac{\theta}{2}}{1+\tan^2\frac{\theta}{2}}=\frac{2t}{1+t^2}$$

また、

$$\cos\theta=2\cos^2\frac{\theta}{2}-1$$

$$=\frac{2}{1+\tan^2\frac{\theta}{2}}-1=\frac{2}{1+t^2}-1=\frac{1-t^2}{1+t^2}$$

と変換できます。

例題

$$\int\frac{1+\sin\theta}{\sin\theta(1+\cos\theta)}d\theta$$

を計算せよ。

\(\tan\frac{\theta}{2}=t\) とおくと

$$d\theta=\frac{2}{1+t^2}\cdot dt,\quad\sin\theta=\frac{2t}{1+t^2},\quad\cos\theta=\frac{1-t^2}{1+t^2}$$

より、

$$\int\frac{1+\sin\theta}{\sin\theta(1+\cos\theta)}d\theta=\int\frac{1+\frac{2t}{1+t^2}}{\frac{2t}{1+t^2}(1+\frac{1-t^2}{1+t^2})}\cdot\frac{2}{1+t^2}\cdot dt$$

$$=\int\frac{1+t^2+2t}{2t}dt=\frac{1}{2}\int\left(t+2+\frac{1}{t}\right)dt$$

$$\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}t^2+2t+\log|t|\right)+C$$

$$=\frac{1}{4}\tan^2\frac{\theta}{2}+\tan\frac{\theta}{2}+\frac{1}{2}\log\left|\tan\frac{\theta}{2}\right|+C$$

ただし、 \(C\) は任意の定数です。

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