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【全10パターン網羅】極限計算の解法一覧

極限計算の解法
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極限の計算をパターンごとに分類し、それぞれの解法を解説しています。

計算の基本は、極限を代入として考えられるように式変形することであり、それに加えて、はさみうちの原理ロピタルの定理を理解していると、極限計算は簡単に行うことができます。

極限計算のイメージ

$$\lim_{x\to a}f(x)$$

という極限は、 \(x\) を \(a\) に限りなく近づけた場合の \(f(x)\) を求めるということを意味しています。しかし乱暴な言い方をしてしまえば、(実用上は) \(x=a\) を代入することだと考えることができます。

とはいえ、その代入(のような)作業がうまく実行できない場合も少なくありません。よくある例としては、

  • 分数で、分子・分母がともに \(0\) になる
  • 分数で、分子・分母がともに \(\infty\) になる
  • \(\infty-\infty\) になる

というケースが挙げられます。これを解消するために、極限計算の対象となる式に対し、様々な式変形を行う必要があります。ここでは、その際に使える解法パターンを10通り紹介しています。

極限計算の解法一覧

0/0の不定形

$$f(x)\to\frac{0}{0}$$

ここから最初の3パターンは、基本となる不定形です。

約分有理化によって不定形を解消します。

【極限計算の解法1】0/0の不定形
分数の極限を考えたときに、単純に計算すると分子・分母ともに0になるケースの解法について解説します。∞/∞のパターンと同様、不定形の極限の基本となる形なので、確実に理解しておきたい計算法です。

∞/∞の不定形

$$f(x)\to\frac{\infty}{\infty}$$

分母の最高次数で分子・分母を割って不定形を解消します。

【極限計算の解法2】∞/∞の不定形
分数の極限を考えたときに、単純に計算すると分子・分母ともに∞になるケースの解法について解説します。0/0のパターンと同様、不定形の極限の基本となる形なので、こちらも確実に理解しておきたい計算法です。

∞-∞の不定形

$$f(x)\to\infty-\infty$$

最高次の項で全体をくくって不定形を解消します。

【極限計算の解法3】∞-∞の不定形
極限を考えたときに、単純に計算すると∞どうしの足し引きになるケースの解法について解説します。項をまとめたり、分数の形に持ち込んで不定形を解消する方法は、極限の計算においては基本的なテクニックです。

はさみうちの原理・追い出しの原理

$$\lim_{x\to a}g(x)< \lim_{x\to a}f(x)< \lim_{x\to a}h(x)$$

計算対象の関数よりも確実に小さい(大きい)関数の極限値から、計算対象の関数を求める必須テクニックです。

【極限計算の解法4】はさみうち・追い出しの原理
極限を考えたい式について、最小値や最大値を考えることができるケースの解法について解説します。他のケースが式変形を主軸としているのと違い、このケースでは関数の範囲を考えることがメインになります。そのため、式変形を考える前にこの「はさみうちの原理」や「追い出しの原理」が適用できる可能性を探るクセを付けると、計算がうまくいく可能性が高まります。

三角関数の極限

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin\theta}{\theta}=1$$

などの値が知られている形に式変形して、極限を計算します。この式から派生する、覚えておくと便利な公式も導出しています

【極限計算の解法5】三角関数を含む形
極限が0/0の形になり、式に三角関数を含むケースの解法について解説します。三角関数の極限の公式を覚えておき、式変形でその形に持ち込むことを目指します。

自然対数の底 e の活用

$$\lim_{h\to 0}(1+h)^\frac{1}{h}=e$$

で定義される自然対数の底 \(e\) の形を活用して、極限を計算します。この定義式から派生する、覚えておくと便利な公式も導出しています

【極限計算の解法6】自然対数の底の利用
自然対数の底eは極限を用いて定義されます。ここでは、式がeの定義式に帰着できるようなケースの極限計算の解法を解説します。

ロピタルの定理と注意点

$$\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}$$

というロピタルの定理は必須級に便利なテクニックですが、使用するときには注意すべき条件があります

【極限計算の解法7】ロピタルの定理とその注意点
分数の極限を考える際に、分子・分母がともに微分可能である場合に使えるロピタルの定理を解説し、それを活用して例題を解きます。式変形に行き詰まった際に使い勝手が良いため、必ず覚えておきたい定理です。しかし、落とし穴もあるので注意が必要になります。

区分求積法

$$\lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}\sum_{k=1}^nf\left(\frac{k}{n}\right)=\int_0^1f(x)dx$$

という関係を利用して、極限を積分として計算します。関係式を視覚的に理解するための図も掲載しています

【極限計算の解法8】区分求積法
計算したい極限が区分求積法の形に一致している場合、計算式を積分に変換することができます。ここでは区分求積と積分が一致する理由を図を用いて解説し、それが応用できる例題の解法を示します。

部分分数分解と「ドミノ倒し」

無限級数の計算において、

$$\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^n\frac{1}{k(k+1)}=\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^n\left(\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\right)$$

のように、極限を計算したい分数を2つに分けると、級数計算が打ち消し合って単純になります。

【極限計算の解法9】部分分数分解と「ドミノ倒し」
無限級数(無限個の項の和)という形の極限を計算するとき、部分分数分解という手法をよく使用します。これにより1つの分数を2つに分けると、足し算の結果がドミノ倒しのように打ち消し合い、式がスッキリするケースがあります。この記事を読むことで、部分分数分解を活用して無限級数を計算する方法を、ステップごとに詳しく理解することができます。

無限連分数

$$\frac{1}{a+\frac{1}{a+\frac{1}{a+\frac{1}{\ddots}}}}$$

のように、分母に同じパターンが無限に続く分数を無限連分数といいますが、式全体を \(x\) とおくことで、ただの方程式として値を計算できます。

【極限計算の解法10】無限連分数
無限連分数は、分母に同じパターンが無限に続いていく分数のことを指します。極限計算の特殊なパターンですが、全体を文字でおくことで方程式として計算できます。この記事を読むことで、無限には終端がないことを活用した無限連分数の計算方法が理解できます。

解法のほかに必要なコツ

極限計算の解法や計算テクニックは多く存在しますが、極限を考える上で、関数の挙動に対するイメージを養っておくことはそれ以上に重要です。

たとえば \(x\to\infty\) となったとき、 \(x\) よりも \(x^2\) が速く増加し、 \(e^x\) はさらに速く増加し、 \(\sin x\) は \(-1\) と \(1\) の間をぐるぐる振動している、という感覚がないと、極限を理解することは難しくなります。

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