PR

【ラプラス変換の公式】三角関数・双曲線関数の変換とその証明

ラプラス変換の一覧
Sponsored

三角関数をラプラス変換した結果について解説し、その証明を行います。

sin, cosのラプラス変換がわかると、三角関数の定理を活用して、それぞれの2乗位相のずれについての変換も簡単に導けます。また、sinh, coshなどの双曲線関数の変換も解説します。

この記事で扱っていない変換例と変換法則の一覧に関しては、以下の対応表を参照してください。

【全51パターン網羅】ラプラス変換表と証明の一覧
微分方程式の解法や制御工学などでよく使われる、ラプラス変換の対応表をまとめました。現在、31パターンの変換例と、20パターンの変換法則を記載しています。項目ごとの「証明」欄のリンクを参照することで、その変換が成り立つ理由を確認することができます。

(前提)ラプラス変換の定義式

時間関数 \(f(t)\) をラプラス変換すると周波数関数 \(F(s)\) になるとします。

$$F(s)=\int_0^\infty f(t)e^{-st}dt$$

このことを \(\mathcal{L}[f(t)]=F(s)\) と書きます。

三角関数のラプラス変換

基本の三角関数( \(\sin, \cos\) )

関係式

$$\mathcal{L}[\sin\omega t]=\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\tag{A.1}$$

$$\mathcal{L}[\cos\omega t]=\frac{s}{s^2+\omega^2}\tag{A.2}$$

証明

部分積分を繰り返して関係式を導きます。

部分積分の公式と、それを1から導出する方法
部分積分の公式を紹介し、それを証明します。筆者は長らく部分積分の公式を暗記するのに苦労していました(どのタイミングで被積分関数を微分・積分したらいいのか覚えられませんでした)が、導出できるようにすることで、この便利な公式を簡単に使えるようになりました。

$$\mathcal{L}[\sin\omega t]=\int_0^\infty \sin\omega t\cdot e^{-st}dt$$

$$=\left[\sin\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}\right]_0^\infty-\int_0^\infty \omega\cos\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}dt$$

$$=\frac{\omega}{s}\int_0^\infty \cos\omega t\cdot e^{-st}dt$$

$$=\frac{\omega}{s}\left(\left[\cos\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}\right]_0^\infty-\int_0^\infty-\omega\sin\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}dt\right)$$

$$=\frac{\omega}{s}\left(\frac{1}{s}-\frac{\omega}{s}\int_0^\infty\sin\omega t\cdot e^{-st}dt\right)$$

$$=\frac{\omega}{s^2}(1-\omega\mathcal{L}[\sin\omega t])$$

より、

$$s^2\mathcal{L}[\sin\omega t]=\omega-\omega^2\mathcal{L}[\sin\omega t]$$

$$\mathcal{L}[\sin\omega t]=\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\tag{A.1}$$

同様に、

$$\mathcal{L}[\cos\omega t]=\int_0^\infty \cos\omega t\cdot e^{-st}dt$$

$$=\left[\cos\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}\right]_0^\infty-\int_0^\infty -\omega\sin\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}dt$$

$$=\frac{1}{s}-\frac{\omega}{s}\int_0^\infty \sin\omega t\cdot e^{-st}dt$$

$$=\frac{1}{s}-\frac{\omega}{s}\left(\left[\sin\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}\right]_0^\infty-\int_0^\infty\omega\cos\omega t\cdot-\frac{1}{s}e^{-st}dt\right)$$

$$=\frac{1}{s}-\frac{\omega^2}{s^2}\int_0^\infty\cos\omega t\cdot e^{-st}dt$$

$$=\frac{1}{s^2}(s-\omega^2\mathcal{L}[\cos\omega t])$$

より、

$$s^2\mathcal{L}[\cos\omega t]=s-\omega^2\mathcal{L}[\cos\omega t]$$

$$\mathcal{L}[\cos\omega t]=\frac{s}{s^2+\omega^2}\tag{A.2}$$

三角関数の2乗( \(\sin^2,\cos^2\) )

関係式

$$\mathcal{L}[\sin^2\omega t]=\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\tag{B.1}$$

$$\mathcal{L}[\cos^2\omega t]=\frac{s}{s^2+\omega^2}\tag{B.2}$$

証明

半角の公式を使用します。

【三角関数の公式】倍角・三倍角・半角の公式と、加法定理から導出する方法
三角関数の倍角・三倍角・半角の公式を紹介し、それぞれを加法定理から導出します。基本的な考え方として、2θ=θ+θという変形を行うことで加法定理を使えるようにします。この導出テクニックを理解することで、暗記の手間を大きく減らすことができます。