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【三角関数の公式】和積・積和の公式と、加法定理から導出する方法

三角関数の公式一覧
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三角関数の和積(三角関数の足し算を三角関数の掛け算で表現する)公式・積和(三角関数の掛け算を三角関数の足し算で表現する)公式を紹介し、それぞれを加法定理から導出します。

加法定理の式の右辺には、三角関数どうしの足し算と掛け算が含まれており、複数の式を組み合わせることで和積・積和を導出します。この導出テクニックを理解することで、暗記の手間を大きく減らすことができます

公式

和積の公式

$$\sin x+\sin y=2\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}\tag{A.1}$$

$$\sin x-\sin y=2\cos\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}\tag{A.2}$$

$$\cos x+\cos y=2\cos\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}\tag{A.3}$$

$$\cos x-\cos y=-2\sin\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}\tag{A.4}$$

積和の公式

$$\sin x\cos y=\frac{1}{2}\{\sin(x+y)+\sin(x-y)\}\tag{B.1}$$

$$\sin x\sin y=-\frac{1}{2}\{\cos(x+y)-\cos(x-y)\}\tag{B.2}$$

$$\cos x\cos y=\frac{1}{2}\{\cos(x+y)+\cos(x-y)\}\tag{B.3}$$

公式の導出

(前提)加法定理

$$\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta\tag{1}$$

$$\sin(\alpha-\beta)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta\tag{2}$$

$$\cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta\tag{3}$$

$$\cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta\tag{4}$$

加法定理自体の証明は以下の記事を参照してください。

【三角関数の公式】加法定理とその図形的証明
sin, cos, tanの和・差の加法定理6種類を紹介し、それらを証明します。三角関数に関する公式は多くありますが、そのすべては加法定理から導出できます。つまり、加法定理さえ覚えておけば、その他の公式を暗記する必要は無いのです。

和積の公式の導出

$$\sin x=\sin\left(\frac{x+y}{2}+\frac{x-y}{2}\right)$$

$$\sin y=\sin\left(\frac{x+y}{2}-\frac{x-y}{2}\right)$$

と書けることに注目します。これらに対して加法定理を使うと

$$\sin x=\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}+\cos\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}$$

$$\sin y=\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}-\cos\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}$$

より、辺々を足すと

$$\sin x+\sin y=2\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}\tag{A.1}$$

辺々を引くと

$$\sin x-\sin y=2\cos\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}\tag{A.2}$$

がそれぞれ導出できます。同様に

$$\cos x=\cos\left(\frac{x+y}{2}+\frac{x-y}{2}\right)$$

$$\cos y=\cos\left(\frac{x+y}{2}-\frac{x-y}{2}\right)$$

に対して加法定理を用いると

$$\cos x=\cos\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}+\sin\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}$$

$$\cos y=\cos\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}-\sin\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}$$

より、辺々を足すと

$$\cos x+\cos y=2\cos\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}\tag{A.3}$$

辺々を引くと

$$\cos x-\cos y=-2\sin\frac{x+y}{2}\sin\frac{x-y}{2}\tag{A.4}$$

がそれぞれ導かれます。

積和の公式の導出

加法定理から

$$\sin(x+y)=\sin x\cos y+\cos x\sin y\tag{1′}$$

$$\sin(x-y)=\sin x\cos y-\cos x\sin y\tag{2′}$$

です。辺々を足すと

$$\sin(x+y)+\sin(x-y)=2\sin x\cos y$$

$$\sin x\cos y=\frac{1}{2}\{\sin(x+y)+\sin(x-y)\}\tag{B.1}$$

が導かれます。同様に

$$\cos(x+y)=\cos x\cos y-\sin x\sin y\tag{3′}$$

$$\cos(x-y)=\cos x\cos y+\sin x\sin y\tag{4′}$$

なので、辺々を引くと

$$\cos(x+y)-\cos(x-y)=2\sin x\sin y$$

$$\sin x\sin y=-\frac{1}{2}\{\cos(x+y)-\cos(x-y)\}\tag{B.2}$$

辺々を足すと

$$\cos(x+y)+\cos(x-y)=2\cos x\cos y$$

$$\cos x\cos y=\frac{1}{2}\{\cos(x+y)+\cos(x-y)\}\tag{B.3}$$

がそれぞれ導出できます。

三角関数の公式一覧/加法定理からの導出

この他の三角関数の公式や、それらを加法定理から導出する方法は、以下の記事を参照してください。

【全10パターン網羅】三角関数の公式と、加法定理から導く方法
三角関数の公式について、全10パターンを紹介します。これらをすべて暗記する必要はありません。なぜならば、公式はすべて加法定理から導出することができるからです。この記事を読むことで、三角関数の複雑な公式を暗記する手間を大きく減らすことができます。

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