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【ラプラス変換の法則1】基本変形と線形性

ラプラス変換の一覧
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ラプラス変換における基本的な変形と、ラプラス変換が持つ「線形性」という性質を紹介し、それらを証明します。

これらの基本的な性質を理解しておくことで、多項式におけるラプラス変換が、項ごとの変換の集まりに過ぎないことがわかります

この記事で扱っていない変換例と変換法則の一覧に関しては、以下の対応表を参照してください。

【全51パターン網羅】ラプラス変換表と証明の一覧
微分方程式の解法や制御工学などでよく使われる、ラプラス変換の対応表をまとめました。現在、31パターンの変換例と、20パターンの変換法則を記載しています。項目ごとの「証明」欄のリンクを参照することで、その変換が成り立つ理由を確認することができます。

(前提)ラプラス変換の定義式

時間関数 \(f(t)\) をラプラス変換すると周波数関数 \(F(s)\) になるとします。

$$F(s)=\int_0^\infty f(t)e^{-st}dt$$

このことを \(\mathcal{L}[f(t)]=F(s)\) と書きます。

デルタ関数のラプラス変換

関係式

$$\mathcal{L}[\delta(t)]=1\tag{1}$$

証明

ディラックのデルタ関数の定義

$$\int_{-\infty}^\infty f(x)\delta(x)dx=f(0)$$

( \(x=0\) における値を抽出する性質です。積分区間は \(0\) を含めば \([0, \infty)\) でも構いません)

定義とイメージで理解する、クロネッカーのデルタ/ディラックのデルタ関数
デルタ関数は条件分岐や積分で活躍する便利な関数です。ここではクロネッカーのデルタ・ディラックのデルタ関数を定義し、それらが持つ性質を網羅的に解説します。この記事を読むことで、デルタ関数のイメージを掴み、数式上でif文やパルスを表現することができるようになります。

より、

$$\mathcal{L}[\delta(t)]=\int_0^\infty \delta(t)e^{-st}dt=e^{-s\cdot 0}=1$$

であることがわかります。

負と定数積の変換

関係式

時間関数 \(f(t)\) をラプラス変換すると周波数関数 \(F(s)\) になるとき、以下の関係式が成り立ちます。

$$\mathcal{L}[-f(t)]=-F(s)\tag{2}$$

$$\mathcal{L}[af(t)]=aF(s)\tag{3}$$

証明

式 \((3)\) で \(a=-1\) とすると式 \((2)\) になるため、式 \((3)\) のみ証明します。

$$\mathcal{L}[af(t)]\int_0^\infty af(t)e^{-st}dt=a\int_0^\infty f(t)e^{-st}dt=aF(s)\tag{3}$$

ラプラス変換の線形性

関係式

時間関数 \(g(t)\) をラプラス変換すると周波数関数 \(G(s)\) になるとき

$$\mathcal{L}[af(t)+bg(t)]=aF(s)+bG(s)$$

が成り立ちます。

このように、多項式のラプラス変換が、項ごとにラプラス変換を実行した結果に等しくなる性質を、ラプラス変換の線形性といいます。つまりラプラス変換において、足し算引き算でつながった項は別々のものとして考えて良い、ということになります。

証明

$$\mathcal{L}[af(t)+bg(t)]=\int_0^\infty (af(t)+bg(t))e^{-st}dt$$

$$=a\int_0^\infty f(t)e^{-st}dt+b\int_0^\infty g(t)e^{-st}dt=aF(s)+bG(s)$$

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