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【極限計算の解法6】自然対数の底の利用

極限計算の解法
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自然対数の底 \(e\) は極限を用いて定義されます。

ここでは、式が \(e\) の定義式に帰着できるようなケースの極限計算の解法を解説します。

自然対数の底の定義

自然対数の底 \(e\) は以下の極限で定義されます。

$$\lim_{h\to 0}(1+h)^\frac{1}{h}=e\tag{1}$$

数値で表すと、 \(e=2.718\cdots\) です。

覚えておくと便利

定義式から派生する、以下の公式も覚えておくと計算が楽になる場合があります。

公式

$$\lim_{x\to\pm\infty}\left(1+\frac{1}{x}\right)^x=e\tag{2}$$

$$\lim_{x\to 0}\frac{e^x-1}{x}=1\tag{3}$$

$$\lim_{x\to 0}\frac{a^x-b^x}{x}=\log_e\frac{a}{b}\quad(a>0,b>0)\tag{4}$$

公式の証明

\(h=\frac{1}{x}\) とおくと \(x\to\pm\infty\) のとき \(h\to\pm 0\) より

$$\lim_{x\to\pm\infty}\left(1+\frac{1}{x}\right)^x=\lim_{h\to\pm 0}(1+h)^\frac{1}{h}=e\tag{2}$$

\(h=e^x-1\) とおくと \(x=\log_e(1+h)\) であり、 \(x\to 0\) のとき \(h\to 0\) より

$$\lim_{x\to 0}\frac{e^x-1}{x}=\lim_{h\to 0}\frac{h}{\log_e(1+h)}$$

$$=\lim_{h\to 0}\frac{1}{\log_e(1+h)^\frac{1}{h}}=\frac{1}{\log_ee}=1\tag{3}$$

\(a>0,b>0\) のとき

$$\lim_{x\to 0}\frac{a^x-b^x}{x}=\lim_{x\to 0}b^x\frac{(\frac{a}{b})^x-1}{x}$$

$$\lim_{x\to 0}b^x\cdot\lim_{x\to 0}\frac{(\frac{a}{b})^x-1}{x}=1\cdot\lim_{x\to 0}\frac{(\frac{a}{b})^x-1}{x}=\lim_{x\to 0}\frac{(\frac{a}{b})^x-1}{x}$$

ここで、 \(h=(\frac{a}{b})^x-1\) とおくと \(x\cdot\log_e\frac{a}{b}=\log_e(1+h)\) であり、式 \((3)\) の導出と同様の計算を行うと

$$\lim_{x\to 0}\frac{a^x-b^x}{x}=\lim_{x\to 0}\frac{(\frac{a}{b})^x-1}{x}=\log_e\frac{a}{b}\tag{4}$$

が導かれる。

例題

$$\lim_{x\to 0}\frac{\log_2(a+3x)-\log_2a}{x}\quad(a>0)$$

を計算せよ。

$$\lim_{x\to 0}\frac{\log_2(a+3x)-\log_2a}{x}$$

$$=\lim_{x\to 0}\frac{\log_2(1+\frac{3x}{a})}{x}=\lim_{x\to 0}\frac{\log_2(1+\frac{3x}{a})}{\frac{3x}{a}}\cdot\frac{3}{a}$$

$$=\lim_{x\to 0}\frac{3}{a}\log_2\left(1+\frac{3x}{a}\right)^\frac{1}{\frac{3x}{a}}=\frac{3}{a}\log_2e$$

極限計算の解法一覧

その他の極限計算の解法は、以下の記事を参照してください。

【全10パターン網羅】極限計算の解法一覧
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