【極限計算の解法5】三角関数を含む形

極限計算の解法
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極限が0/0の形になり、式に三角関数を含むケースの解法について解説します。

三角関数の極限の公式を覚えておき、式変形でその形に持ち込むことを目指します。

(本記事中では、 \(\theta\) は弧度法で表されているものとします)

解法

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin\theta}{\theta}=1\tag{1}$$

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{\tan\theta}{\theta}=1\tag{2}$$

のいずれかの形に帰着させる。

覚えておくと便利

公式

以下の公式を覚えておくと、計算が楽になる場合があります。

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin a\theta}{b\theta}=\frac{a}{b}\quad(ab\neq 0)\tag{3}$$

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{1-\cos\theta}{\theta^2}=\frac{1}{2}\tag{4}$$

$$\lim_{\theta\to\infty}\theta\sin\frac{a}{\theta}=a\tag{5}$$

$$\lim_{\theta\to 0}\theta\sin\frac{a}{\theta}=0\tag{6}$$

公式の証明

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin a\theta}{b\theta}=\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin a\theta}{a\theta}\cdot\frac{a}{b}=\frac{a}{b}\tag{3}$$

$$\lim_{\theta\to 0}\frac{1-\cos\theta}{\theta^2}=\lim_{\theta\to 0}\frac{(1-\cos\theta)(1+\cos\theta)}{\theta^2(1+\cos\theta)}=\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin^2\theta}{\theta^2(1+\cos\theta)}$$

$$=\lim_{\theta\to 0}(\frac{\sin\theta}{\theta})^2\cdot\frac{1}{1+\cos\theta}=1^2\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{2}\tag{4}$$

\(t=\frac{1}{\theta}\) とおくと

$$\lim_{\theta\to\infty}\theta\sin\frac{a}{\theta}=\lim_{t\to 0}\frac{\sin at}{t}=a\tag{5}$$

また、 \(0\leq|\sin\frac{a}{\theta}|\leq 1\) より \(0\leq|\theta\sin\frac{a}{\theta}|\leq|\theta|\) なので、はさみうちの原理から

$$\lim_{\theta\to 0}\theta\sin\frac{a}{\theta}=0\tag{6}$$

【極限計算の解法4】はさみうち・追い出しの原理
極限を考えたい式について、最小値や最大値を考えることができるケースの解法について解説します。他のケースが式変形を主軸としているのと違い、このケースでは関数の範囲を考えることがメインになります。そのため、式変形を考える前にこの「はさみうちの原理」や「追い出しの原理」が適用できる可能性を探るクセを付けると、計算がうまくいく可能性が高まります。

例題

$$\lim_{x\to 0}\frac{\sin(\sin\frac{x}{\pi})}{\pi x}$$

を計算せよ。

$$\lim_{x\to 0}\frac{\sin(\sin\frac{x}{\pi})}{\pi x}=\lim_{x\to 0}\frac{\sin(\sin\frac{x}{\pi})}{\sin\frac{x}{\pi}}\cdot\frac{\sin\frac{x}{\pi}}{\frac{x}{\pi}}\cdot\frac{1}{\pi^2}$$

ここで、 \(x\to 0\) のとき \(\frac{x}{\pi}\to 0\) かつ \(\sin\frac{x}{\pi}\to 0\) より

$$\lim_{x\to 0}\frac{\sin(\sin\frac{x}{\pi})}{\sin\frac{x}{\pi}}\cdot\frac{\sin\frac{x}{\pi}}{\frac{x}{\pi}}\cdot\frac{1}{\pi^2}=1\cdot 1\cdot\frac{1}{\pi^2}=\frac{1}{\pi^2}$$

極限計算の解法一覧

その他の極限計算の解法は、以下の記事を参照してください。

【全10パターン網羅】極限計算の解法一覧
極限の計算をパターンごとに分類し、それぞれの解法を解説しています。計算の基本は、極限を代入として考えられるように式変形することであり、それに加えて、はさみうちの原理やロピタルの定理を理解していると、極限計算は簡単に行うことができます。

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