極限を考えたい式について、最小値や最大値を考えることができるケースの解法について解説します。
他のケースが式変形を主軸としているのと違い、このケースでは関数の範囲を考えることがメインになります。そのため、式変形を考える前にこのはさみうちの原理や追い出しの原理が適用できる可能性を探るクセを付けると、計算がうまくいく可能性が高まります。
解法
\(g(x)\leq f(x)\leq h(x)\) が常に成り立ち、
$$\lim_{x\to a}g(x)=\lim_{x\to a}h(x)=b$$
であるとき、
$$\lim_{x\to a}f(x)=b$$
となります。これをはさみうちの原理といいます。
また、 \(g(x)\leq f(x)\) が常に成り立ち、
$$\lim_{x\to a}g(x)=\infty$$
であるとき、
$$\lim_{x\to a}f(x)=\infty$$
となります。これを追い出しの原理といいます。
なお、ここでは極限を考えているため、関係式に等号は無くても構いません(つまり、 \(g(x)< f(x)< h(x)\) でも可)。
例題
$$\lim_{n\to\infty}\frac{2n-\cos n\pi}{3n+\cos n\pi}$$
を計算せよ。
\(-1\leq\cos n\pi\leq -1\) より
$$\frac{2n-1}{3n+1}\leq\frac{2n-\cos n\pi}{3n+\cos n\pi}\leq\frac{2n+1}{3n-1}$$
が成り立つ。ここで、
$$\lim_{n\to\infty}\frac{2n-1}{3n+1}=\lim_{n\to\infty}\frac{2-\frac{1}{n}}{3+\frac{1}{n}}=\frac{2}{3}$$
$$\lim_{n\to\infty}\frac{2n+1}{3n-1}=\lim_{n\to\infty}\frac{2+\frac{1}{n}}{3-\frac{1}{n}}=\frac{2}{3}$$
より、はさみうちの原理から
$$\lim_{n\to\infty}\frac{2n-\cos n\pi}{3n+\cos n\pi}=\frac{2}{3}$$
極限計算の解法一覧
その他の極限計算の解法は、以下の記事を参照してください。

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