目的
他と神経アンサンブルを共有して保持された個々の記憶がアイデンティティーを保っているか、また1つの記憶が消去された場合に、それは異なる運命を辿ることになるのか、を調べる。
事実
introduction
- Auditory Fear Conditioning (AFC) の記憶は、 auditory cortex (AC) / medial geniculate nucleus (MGm) と lateral amygdala (LA) の間のシナプス増強として蓄積される。
fig 1
- 記憶を部分的に消去 (anisomycin: Ani) した場合は光刺激によって回復させることができるが、完全に消去 (anisomysin + tat-beclin: Ani+tBC) した場合は回復不能。
- Ani 群は光刺激による LTP で回復。Ani+tBC 群における LTP での記憶の強化は、Un-paired な群と同程度。
- →新規に記憶が形成されたことによる
- Ani+tBC による記憶の消去は長期的であり、自然回復しない 。
fig 2
- Ani+tBC 群では、AC/MGm → LA の接続が消失。
- LA のエングラム細胞を mCherry 、AC/MGm の軸索終末を oChIEF でラベルすると、PBS, Ani 群に比べて c-Fos-mCherry を共発現する細胞割合が低下
fig 3
- 7Hz による AFC のあと、2Hz で AFC を行うと、 2Hz の記憶が増強される。
- Rashid AJ et al. Science 353, 383-387 (2016)
- LA において、7Hz と 2Hz に対応する細胞の多くは共有されているが、AC では分離している。
- ↑2つの記憶が5時間離れている場合。24時間離れると、LA でも分離する
- 7Hz 後に Ani+tBC → 2Hz : 7Hz 消失・2Hz 影響なし
- 7Hz → 2Hz 後に Ani+tBC : 7Hz 影響なし・2Hz 消失。
fig 4
- 7Hz, 2Hz の AFC をした後で、7Hz に対応するシナプスに LTD を誘発すると、7Hz の記憶は低下するが、2Hz は影響を受けない。
- 7Hz の AFC → Ani+tBC で消去、2Hz の AFC → Ani+tBC で消去の後、7Hz に対応するシナプスに LTD を誘発すると、7Hz の記憶は低下するが、2Hz は影響を受けない 。
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